この化学物質はPFAS(ピーファス)と呼ばれる有機フッ素化合物の一群で、
がんや免疫力低下、胎児の発育障害など様々な病気との関連性が疑われている。
このため、国際条約で製造や取引を禁止する動きが進んでいるほか、欧米政府も独自の規制強化を急いでいる。
日本は欧米に比べて対策が大幅に遅れており、住民の健康への影響が懸念される。
多摩地域の多くの住民が飲み水として利用している地下水が、広範囲にわたって高濃度のPFASに汚染されていることは、
最近の環境省や東京都などの調査で明らかになっているが、住民への影響を調べるための行政による本格検査は行われていない。
住民側は汚染の実態解明のための大規模な血液検査の実施や原因究明を都などに要望してきた。
しかし、聞き入れられなかったため、昨年、「多摩地域の有機フッ素化合物汚染の実態を明らかにする会」を設立し、
専門家や医療機関の協力を仰ぎながら自主血液検査に乗り出していた。
同会は最終的に約600人の住民の血液検査を実施し、結果を公表する予定だが、
30日は第一弾として、昨年11月から12月にかけて実施した国分寺市などの住民合わせて87人分の結果を公表した。
分析は京都大学医学研究科の原田浩二准教授が行った。
PFASは全部で4700種類あるとも言われているが、今回、血中濃度の測定を試みたのはそのうち、過去に多くの場所で検出されている13種類。
さらにその中から、国際条約で製造や使用が禁止・制限されるなど特に毒性の強い4種類の測定結果を公表した。
それによると、住民87人の平均血中濃度(4種類合計)は、1ミリリットルあたり38.8ナノグラム(38.8 ng/ml)、最高は124.5 ng/mlとなり、
欧米の専門機関が発表している「安全基準値」を大きく上回った。
米国の学術機関「全米アカデミーズ」は、医療機関の手引きとして昨年公表した報告書の中で、
主要PFASの合計血中濃度が2ng/mlを上回る患者は健康被害を受ける可能性があるとし、
医療機関は脂質異常症や妊娠高血圧症、乳がんなどの発症に注意を払う必要があると指摘している。
https://news.yahoo.co.jp/byline/inosehijiri/20230130-00335008
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Source: アルファルファモザイク