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【怖い話】最後のご挨拶

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私が老人ホームに勤めていた時の話です。

当時、私は生活相談員をしていました。入居案内や契約や面談をする仕事です。

ある時、お2人での入居を希望されたご夫婦がいました。とても仲の良いご夫婦で、3人のお子様たちも協力的でした。どのお子様も本当は同居したい、面倒をみたいとの希望でしたが、ご夫婦は、最後まで2人で何も気にせず仲良く過ごしたいとの理由で、お子様たちとの同居は望みませんでした。

お2人とも入院中だったため、そこから直接、施設へとご入居になる予定でした。
まず、旦那様の方だけ先に退院し、施設へお越しになりました。奥様はその2週間後に退院し、ご入居の予定でした。

しかし、奥様の退院まであと1週間というときのこと。私が自宅で入眠していると、誰かが枕元にいる気配がしました。
私には霊感なんてありませんので、家族かと思い起き上がりました。ふと目が合うと、ご入居予定の奥様でした。

私は妙に冷静で、どうしたのか尋ねると、「ご挨拶にあがりました。主人と施設へ行くのが楽しみでしたが、叶いそうもございません。あなたにはご尽力いただきましたが、申し訳なく存じます。できることなら、主人より長く生きて見送り、その後に旅立ちたかったのですが……。私がいなくなったら、あなたに主人をおまかせせねばなりません。まことに気がかりではございます。もし…もし、主人が施設での生活を不便に思ったり、私のいない世界に嫌な気持ちを持ちましたときには、すぐにお迎えにあがりますので、そのときまで、どうぞよろしくお願いいたします」と言われ、スッと消えました。

翌日の出勤後、旦那様を病院へとお連れし、奥様のお見舞いへ行きました。
その時は、奥様の意識もはっきりしており、ご夫婦で手を取り合って話していました。
旦那様がお手洗いに行かれた時、奥様は「昨日はごめんなさいね。ありがとうね。最後にもう一度会えてよかった」とおっしゃいました。

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Source: 不思議ネット