「ここで借りられる小説を読んで過ごしています」
――刑務所に戻りたい、と思った理由は。
「慣れない環境や土地で不安でいっぱいでした」
――当時の心境は。
「絶望、ですよね」
――出所から2日後で仕事も住む場所もあった。他の前科者に比べて恵まれていたのではないか。
「慣れない環境のせいで不安で…」
――刑務所に戻りたい、と思ったとしても、せめて人を傷つけない犯罪で捕まることは考えられなかったのか。
「不安でいっぱいになっていて、そんな時にトラックの鍵が目に入った。もうそれで当て逃げしようとしか考えられなくなった」
――被害者に対しどう思っているのか。
「申し訳ないことをしたと思っています。罪を償っていかなければならないと思います」
――一体どう罪を償うのか。
「それは…」
――控訴したのは、死刑になりたくないからか、死にたくないと思う気持ちがあるからか。
「死刑になりたくない、死にたくないという気持ちはあります……」
「検察は、やったことを事実より大きく見せようとしているんです。当てて逃げようと思っただけで、殺す気はなかったのに、殺す気があったかのようにされてしまった。控訴審では、現場の状況から殺意を否定する根拠をまとめた交通事故調査会社の調査結果を弁護士が提出しましたが、証拠として認められなかった。社長の証人尋問だけが認められて、証言だけはしてもらうことが出来ました」
「結果的にはそうなってしまって、亡くなられた方には申し訳ないですが、最初から殺すつもりだったわけではないんです。前から近付いたら避けてくれると思っていて、だから田村署で亡くなったって聞いて驚いて。そう話しても認めてもらえなくて、3週間拘留されて、取り調べは夜中まで続いて、睡眠もとらせてもらえませんでした。調書も勝手に話を足されたりして、初めから殺すつもりだったとまとめられてしまったんです」
――もしあなたが、“刑務所に戻りたい”という理由ではね殺され、その後犯人から“避けられると思った”と言われたらどう思うか。
「検察側の証拠として出て来た当時現場にいた人の証言があるんですが、その人は“前からものすごいスピードでトラックが走って近付いてきて、危ないと思って避けた”と証言していました。だから避ける余裕はあったはずなんです」
と、被害者たちが避けられたはずだという主張を繰り返すのだ。
車は当てたら死ぬんやで
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Source: 不思議ネット