EUは3月8日、2035年までにロシア産化石燃料から脱却するための行動計画「リパワーEU」の政策文書を公開した。5月18日にはその詳細も発表されたが、今年中にロシア産の天然ガスの使用量の3分の2に相当する量を削減するという計画は極めて野心的であり、多くの識者がその実現可能性に対して疑義を呈している。
ロシア産の化石燃料のうち、石炭に関する禁輸措置は4月8日に合意に達した対露制裁第5弾のパッケージで、また石油に関する同措置は6月3日に合意に達した同制裁第6弾のパッケージで、それぞれ既に合意に達している。だが、天然ガスに関しては、ロシアへの依存度が高いドイツやオーストリアを中心に慎重論が根強い。
こうした状況を受けて、EU各国では石炭火力発電を復活させる動きが相次いでいる。ギリシャをはじめとして、オランダ、オーストリア、ドイツである。ドイツにいたっては、5月末に主要7カ国(G7)の環境相会議で、議長国として石炭火力を2035年までに段階的に廃止するとする共同声明を取りまとめたばかりだ。
ドイツのハーベック副首相は6月19日に石炭火力の増強に関して声明を出した際に、それを「苦痛(Das ist bitter)」と表現しながらも、冬季に向けたガス備蓄を進めるためには不可欠な措置であるとして理解を求めた。副首相がベーアボック外相とともに共同党首を務める環境政党、同盟90/緑の党の支持者に対する弁明というところだろう。
ヨーロッパにおける石炭回帰への動きそのものは、ロシアが兵糧攻めを仕掛ける以前より「脱ロシア化」を図る観点から模索されていた。当然、ロシアが天然ガスの兵糧攻めを仕掛ける可能性への危機感を持っていたためだが、実際にロシアが兵糧攻めに等しい行動に出たことで、ヨーロッパ各国の石炭回帰の動きにはドライブがかかるはずだ。(以下ソースで)
https://news.yahoo.co.jp/articles/73fb977f175b3143bd581724c15b7357e886c403
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Source: アルファルファモザイク