https://gigazine.net/news/20190622-brain-zapping-recall-more-memories/
2019年06月22日 21時00分
GigaZiNE
脳の活動の正体は脳細胞の間に走る電気信号であり、これまで脳に電気刺激を与えると高齢者のワーキングメモリ(作業領域)が劇的に若返ることや、
夜寝ている間に脳に刺激を加えると記憶力がアップすることなどが実験により明らかになっています。
学術ジャーナルMIT Press Journalsに掲載された論文によると、今回新たに
「頭皮の上から電気的刺激を与えるだけで記憶力をブーストすることができる部位が発見された」
とのことです。
Anodal Transcranial Direct Current Stimulation to the Left Rostrolateral Prefrontal Cortex Selectively Improves Source Memory Retrieval
Journal of Cognitive Neuroscience | MIT Press Journals
https://www.mitpressjournals.org/doi/abs/10.1162/jocn_a_01421
Brain zapping can help retrieve forgotten memories
https://www.tribuneindia.com/news/science-technology/brain-zapping-can-help-retrieve-forgotten-memories/782048.html
Neuroscientists Have Improved Memory Retrieval by Zapping People’s Brains
https://www.sciencealert.com/a-brain-zap-to-a-particular-area-of-the-brain-might-help-you-recall-more-memories
脳のある特定の領域に電気を流すことで、記憶力を大幅に増強することができることを突き止めたのは、ロサンゼルス大学のジェシー・リスマン助教授らの研究グループです。
研究グループは、平均年齢20歳の男女72名に対し、80個の単語を記憶させ、次の日に記憶した単語をどれだけ思い出せるかのテストを行いました。
記憶テストは2回に分けて実施。
最初はすべての被験者に、頭の上から取り付ける電極を装着させ、「電気を流すフリ」をしました。
そして、30分後に実施した2度目のテストでは、被験者を3つのグループに分けて、
1つ目のグループには「ニューロンを興奮させる電気刺激」を、
2つ目のグループには「ニューロンを沈静化させる電気刺激」を与え、
最後のグループには対照群としてもう一度「電気を流すフリ」を行い、
最初の「電流を流すフリ」から比較してどれだけ単語を思い出す能力がアップしたかを観察しました。
その結果、3つのグループすべてにおいて記憶テストの成績改善が見られましたが、スコアの伸びは「ニューロンを興奮させる電気刺激」を受けたグループで15.4ポイント、
「ニューロンを沈静化させる電気刺激」を受けたグループで5ポイント、2回とも「電気を流すフリ」を受けたグループで2.6ポイントと差が開きました。
このテストで電気刺激を与えたのが、左側の前頭前皮質です。
前頭前皮質はちょうどまゆと生え際の中間付近にある脳の部位で、これまで高度な認知行動や社会的行動に関与していると思われてきた部分でした。
リスマン氏は3つのグループのうち、
「電気を流すフリ」と「ニューロンを沈静化させる電気刺激」を受けたグループのスコア改善は「統計的に有意ではなく、単にテストに慣れただけ」だと結論。
その一方で、「ニューロンを興奮させる電気刺激」を受けたグループの記憶力が大幅にアップしたことについて、
「左側の前頭前皮質が記憶の想起に強く関与していることの証拠をつかむことができた」と述べました。
この実験で脳に刺激を与えるのに使われたのは「tDCS(経頭蓋直流刺激)」という手法で、
うつ病の治療などに使用されている実績があり、電極を埋め込むための外科手術なども不要です。
過去には手製のヘッドギアで脳をハックする流行に対し科学者が警鐘を鳴らしたことがありましたが、
今回の研究が進展すれば、誰もが安全かつ手軽に記憶力をブーストできる日が来るかもしれません。
引用元: http://anago.2ch.sc/test/read.cgi/scienceplus/1561227860/
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Source: ニュー速クオリティ